出木杉コラム 第一回 出木杉登場の理由
| 出木杉英才は、ドラえもんの連載途中から登場した準レギュラーの1人です。明晰な頭脳、快活な性格、卓越した運動神経の持ち主であり、これだけの万能キャラクターは、数々の藤子作品の中でもレギュラークラスには他に見当たらないように思われます(それほど詳しくないので自信はありませんが)。頭の良い人物は運動神経が鈍く(オバQのハカセ、キテレツ大百科のキテレツなど)、逆に運動神経の良い人物は頭が悪い(オバQのゴジラ、キテレツ大百科のブタゴリラなどのジャイアン系キャラ、たいてい性格も悪い)というのが一般的なパターンであり、最低限なんらかの欠点、弱点は持っているものです。しかし出木杉にはそんなものはありません。せいぜい「工事の音がうるさいと勉強がはかどらない」くらいのものです。 では、なぜドラえもんにだけこのようなキャラクターが出てくるのでしょうか?その理由はおそらくのび太としずかちゃんの関係にあるのではないかと思われます。藤子作品において、この2人ほど恋愛の話が出てくるものは無いでしょう。 なぜならこの作品は、のび太が元々ジャイ子と結婚する運命にあり、ドラえもんはその未来をしずかちゃんとの結婚という別の未来に変えにきたという設定の物語だからで、この二人には未来が変わりつつある証拠として、将来の結婚に結びつくような恋愛の話題がなければならなかったのです。 しかし、連載が続き二人のエピソードが増えてゆくに連れて、読者の間ではのび太としずかちゃんの結婚と言う未来は、もはや決定されていること(未来は変わった)と思われるようになってきました。そこで、その決められた未来を脅かすような話が存在する余地が出てきたのでしょう。 でも、レギュラーであるジャイアンやスネ夫には、人間的な魅力において問題があります。暴力的なジャイアンや自慢だらけのスネ夫をしずかちゃんが選ぶと言うのは不自然ですし、だからと言って今まで出てきたキャラクターでは個性的な面々の中で存在感をアピールすることはできません。 そこで、「キャラ立てのしっかりした、1度変わった未来をもう1度変えかねないほどしずかちゃんが魅力を感じるような男」として、ダメ人間のび太と対照的な万能人間、出木杉英才が生み出されたのではないでしょうか? |